あたしはカメ。 [カメのつれづれ草]
あたしはカメである。名前はまだ無い。
どこでうまれたかとんと見当がつかぬ。
何でもガラスに囲まれた所でイモ洗い状態でいた事だけは
記憶している。あたしはここで始めてガラス向こうにいるのが
人間というものだと知った。
いつからかたくさんいた友達や姉妹が一匹もいない。
あたしがここで暮らし始めて数ヶ月が過ぎた。ある日、
人間の掌があたしに近づいてあたしを空中に抛り出した。
周りは薄暗く、何が動くのか自分だけが動くのか分らないが
むやみに眼が廻る。胸が悪くなる。到底助からないと思って
いると、どさりと音がして眼から火が出た。それまでは記憶して
いるがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
ふと気が付いて見るとやはりガラスに囲まれた所にいた。
いやはや、ここは何処であろうか。
かくしてあたしに自分の住家と隣人ができたのである。
あの有名なネコのまねをしてみた。
これであたしも有名なカメになれるかしら。
隣人はあたしをミシシッピアカミミガメ(♀) と思っているみたい。
ついでに言うと、あたしの隣人はヒト(♀)
彼女は、あたしのことを、野良亀と呼んでいる様子。
失礼な
今は、さむくってさむくって、動きたくないのよ。
もうチョットあったかくなるまで、起こさないでくださいな。
んじゃ、もうしばらく寝るわ。 あー しあわせ
DO NOT DISTURB
『いーけどさぁ 甲羅、苔むしてるよっ』
おまけ♪ 吾輩は猫である 夏目漱石/著
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